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3. 環境改善工法の選定方法の提案
(1)環境改善のための前提条件
環境改善工法の検討は、沿岸域利用計画の基本方針、ならびに環境改善の考え方を考慮して、次の前提条件に基づいて行うものとする。
?沿岸域利用計画において、現況の環境の価値を損失させないこと。
?環境改善工法は、単体ならびに組み合わせを含めて検討すること。
?評価に当たっては、費用と効果、ならびに利用計画の方針と現況の空間価値を考慮して環境改善工法を選択すること。この際、利用計画が実施される地域の用途区分3)(都市計画における市街化区域、市街化調整区域の指定に相当する区分)の開発・保全・保存区域の用途指定ならびに行動方針を考慮して検討すること。
これらの前提条件に基づき、環境改善工法の選択方法として、次に示す3段階を設定した。
【第1段階】環境改善工法の必要性の検討

環境改善工法を当初の利用計画に加えて行うことが必要かどうかを検討し、環境改善工法が必要とされる場合、その回復量、創造量を定量的に把握する。

【第2段階】利用計画に沿った代替案の抽出

環境改善工法が必要とされる場合、その利用計画の方針や計画対象地域の現況を考慮して使用できる環境改善工法の設定を行い、その組み合わせによって代替案を抽出する。

【第3段階】環境改善工法の効果による代替案の選択

空間価値、費用、効果等により代替案を選択する。

(2)環境改善工法の必要性の検討【第1段階】
Fig-3に第1段階の検討フロー図を示す。主な特徴を整理すると次のとおりである。
?利用計画が実施される対象地域の現況景観度p値、動植物生育度d値の測定を行う。利用計画自体が環境改善を目的としている場合には、第2段階の環境改善工法の代替案抽出を行う。
また、利用計画が人間の利用を中心に考えた開発行為である場合には、環境改善工法の実施する必要性の必要性について検討を行う。
?利用計画が人間利用の開発行為であるならば、計画を実施した後の景観度p’値、動植物生育度d’値を予測する。この利用計画に独自の環境改善や対策がない場合は、(p’≧p、d’≧d)のとき利用計画を実施し、満たさなければ環境改善工法の実施を決定する。
?また、利用計画に独自の環境改善や対策がある場合は、景観度の目標値pt、動植物生育度の目標値dtを設定し、(p’≧pt、d’≧dt)のとき利用計画を実施し、満たさなければ環境改善工法の実施を決定する。

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Fig-3 環境改善工法の必要性の検討フロー【第1段階】

Necessity flow of Making Mitigation Projects

?利用計画の中の目標値が景観度だけの場合は、(p’≧pt、d’≧d)、動植物生育度だけの場合は、(p’≧p,d’≧dt)のとき利用計画の実施を決定し、満たさない場合には環境改善工法を実施する。
(3)利用計画に沿った代替案の抽出【第2段階】
Fig-4に第2段階の検討フロー図を示す。主な特徴を整理すると次のとおりである。
?現況の景観度、動植物生育度の評点を高める環境改善工法を抽出する抽出された工法、および、複数の工法が抽出された場合にはそれらを組み合わせた工法について実施後の景観度の予測値pi、動植物生育度の予測値diを算出する。
?利用計画に独自の環境改善の目標値がない場合には、(p≦pi、d≦di)のとき、この環境改善工法が代替案となる。また、満たさない場合には、他の工法との組み合わせを行い改めて検討する。
?利用計画に環境改善の目標値がある場合には、景観度の目標値ptと工法実施後の景観度pi、動植物生育度の目標値dtと工法実施後の動植物生育度diを比較し、(pt≦pi、dt≦di)のとき、この環境改善工法が代替案となる。
?景観度のみ目標値がある場合には、(pt≦pi、d≦di)、また、動植物生育度のみ目標値がある場合には、(p≦pi、dt≦di)のとき、それぞれの環境改善工法が代替案となる。

 

 

 

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